まるくまもぐら通信

夜は占い師、昼はMBA持ち技術者。ビジネススキル、時事、占い。世界が明るく仲良く楽しくなりますように。                             

☆失敗学のすすめ。繰り返される失敗をなくそう☆

こんにちは、まるくまもぐらです。 
副業はコンサルタント。夜は占い師、昼間は技術者として、最近下町ロケットで話題のバルブシステムなども設計しています。 

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昨今製造業の不祥事をよく耳にします。日本のものづくりを支える一員としても悲しいです。 
KYB(免振・制振装置の性能検査記録データを改ざん) 
日産自動車・スバル(自動車の出荷前試験、完成検査での検査不正) 
神戸製鋼(アルミニウム製品の強度データ偽装) 
三菱マテリアル(製品データ偽装) 
東レ(タイヤ補強材の製品データ偽装) 

あちこちの会社で同じような失敗が繰り返されている印象です。 
 同じような失敗を繰り返さないためにどうすればよいか。失敗学(しっぱいがく)という分野で研究されています。今日はこと失敗学についてお話しますね。 

以前、畑村 洋太郎先生に失敗学(しっぱいがく)について伺ったことがあります。皆さんにもご紹介しますね。先生は、東京大学工学部で、「良い設計とは何か」をずっと研究されてきた方です。昼間設計をしている、まるくまは、先生の教えを活かしながら仕事をしています。 

☆失敗学とは☆ 
失敗学とは、起こってしまった失敗に対し、責任追及のみに終始せず、直接原因(物理的・個人的な)と根幹原因(背景的・組織的な)を究明する学問です。 
どんな仕事でも失敗やミスはつきものもですよね。ミスをして叱られる。ここまでは当たり前ですよね。しかし、起きてしまった失敗に対して、個人を叱りつけるだけでは、他の人が同じミスを犯してしまう、当事者が似たような失敗を繰り返してしまう、というようにいつまでも失敗が繰り返される事態になりがちです。 

 

失敗学のすすめ (講談社文庫)

失敗学のすすめ (講談社文庫)

 

 


失敗に学び、同じ過ちを繰り返さないようにするためには、どうすればよいか、を考える。さらに、こうして得られた知識を社会に広め、他でも似たような失敗を起こさないように考える。これが失敗学です。 
 失敗のナレッジマネジメント(個人の経験を、組織の知識として共有、有効活用する)ことです。 


☆失敗学の実践方法☆ 
失敗は落とし穴みたいなものです。まるくまもぐらも、よく掘っています。もぐらだけに。 
皆さんははまらないように。 
  
 次の2段階で個人の失敗から、対策を導き出します。 
 個人の失敗を“帰納法”で、誰にでもあてはまる”罠(失敗の根本原因)”に一般的化する 
 一般的化した”罠(失敗の根本原因)”から“演繹法”で個人や組織の対策に具体化する。

 

①    失敗につながった行動(失敗行動)をみつける。 
わざと失敗する人はいません。責任追及と原因解明の分離をきちんとしましょう。 
目的は一時的な責任追及ではなく、失敗の本質的な原因を特定し、恒久的な対策を考えることです。 
  失敗の原因は一つとは限りません。色々な角度から再検証して原因を探りましょう。 

② その失敗行動を“正しい”と思わせた,動機となった情報や周りの環境・状況(動機的原因)を検討する。 
結果的には失敗してしまった場合でも,失敗した本人は“正しい”と思って行動しており,そう思わせた動機的原因を当時の状況に立ち帰って考えることです。“その行動を選んだのは仕方がない”,“その状況であれば誰でもそうする”と自分の行為を正当化する“言い訳”を考えると動機的原因が見つかることがあります。 

③ 動機的原因から当該事象ではまってしまった(事例レベルの)“罠”を導き出す。 
1,2で挙げた個人レベルの失敗を、事例として一般化、抽象化しましょう。 
帰納法の考えかたを使います。 

④ 事例レベルの罠から当該事象に固有の製品や部門に限定される情報を取り除いて,失敗の原因を一般化した“失敗の上位概念”,即ち,誰もがはまる“罠“を導き出す。 
  
 事例からさらに、誰にでもあてはまるような普遍的な原理を導きだします。 

⑤ 失敗の原因である“罠”から,その“罠”にはまらない為の未然防止策考える。 
  
 失敗の本質的な原因から、本質的、一般的な防止策を導き出します。 
  
⑥ 失敗/成功の上位概念を,違う製品・部門の業務に置き換えて,起こり得るであろう失敗とその未然防止策を検討する。 

 原理原則から具体的な解決策を導き出します。 
 ひとつの失敗から、様々な部門の似たケースに失敗経験を横展できるようになります。 

(参考)濱口哲也・平山貴之,失敗学実践編,日科技連出版社, 

☆カギは、帰納法演繹法の考え方☆ 
帰納法で、個別のケースを、一般的な原理原則を導き出す。 
演繹法で、一般的な原理原則から、具体的な改善策をつくりだす。 
非常に便利な考え方です。帰納法演繹法については、今後別の記事で紹介しようと思います。 

日々の仕事でもたくさんの失敗をします。 
失敗した時こそ、仕事の進め方改善やしくみ作りを行なう絶好のチャンスです。 
あなたも一緒に、失敗学を活かして、さらなる失敗を未然に防ぎましょう。